子ども達の剣道を始めた動機は様々でしょうが、多くの保護者の方は、お子さん達の心身の健やかな発育を願って剣道を勧められたことと推察いたします。同様に、指導部でもお子さん達が剣道を通じて強い心と健康な体が鍛えられることを願って多くの先生方がボランティアで指導に協力いただいています。近年の学校教育では、子ども達を「鍛える」という視点に対して消極的な傾向も伺われることから、一層このような思いを強くします。

一方、剣道がある程度上手になってくると、お子さんの中には試合に出場したいという希望も芽生えます。指導部としても、試合に参加する以上は普段の努力の結果としての「勝利」を経験させたいのも事実です。子ども達の心身を律する修養としての剣道と、スポーツ活動としての剣道。ここに少年剣道の指導における割り切り難い現実があります。
また、お子さん達には個人差が大きいこと(体の大きさ、紐を結ぶといった器用さ、話を理解する能力、親離れの程度)、剣道を始めた動機が様々であること、道場内の剣道学習では社会性や協調性が必要であることから、それらが育つまで我慢強く待つ必要もあります。これは、子ども達、保護者、指導部の我慢比べです。

今までに、途中で剣道を辞めてしまった理由では、子ども同士、親同士、指導部とのコミュニケーションが上手くいかなかった場合、他のお子さんと比べて上達に時間がかかり本人や保護者が辛くなった場合、試合にいつも負ける場合、選手に選ばれる可能性がないと子どもや保護者が考えた場合が記憶にあります。しかし、子供も保護者も、剣道の道場に通う上で大切なことは、共通の目的を持って集まった仲間と仲良くする・正しい礼儀作法(:社会性)、大きな声(:自己解放、ストレス発散)、休まない・逃げない(:克己心)、学校の宿題を済ませてから道場にくる(:責任)といったことになります。入門時の初心を忘れないようにお願いします。

最終的な目標は、道場の中での立ち振る舞いや礼、挨拶「御願いします、ありがとうございました」が家庭や学校生活でも出来るようになること、規律正しい生活が出来ることです(これが試合に勝つよりも難しい)。
お子さん達のため、家庭の応援とご協力をお願いします。